外国人の部屋探しについて

外国人が日本で部屋を借りる際に、審査が下りない等の事情で苦労する話はよく聞きます。今回、不動産会社の中で外国人を専門に扱っている支店のご担当者にお話を伺うことができましたのでご紹介いたします。

【部屋を借りる】

  • 要望と相場の不一致

外国人がなかなか部屋を借りられない…という場合の理由は様々ですが、借りる側の要望が世間の相場に合っていないケースも多いようです。
例えば「技能実習生4~5人で家賃を〇円以内にしたい」という場合、都心ではワンルームの複数人入居可能物件はそもそも少ないですし、希望の予算内の物件がないこともあります。

  • 審査

法人で借りるケースと、外国人本人が借りるケースが想定されます。法人の場合、実績や謄本など(状況によっては決算書類など)で判断されますが、ここで審査をクリアできないこともあり、外国人本人で借りる方がスムーズなこともあるようです。
個人で部屋を借りるときは、過去に部屋を借りたときに家賃の滞納があると審査が通りにくいようです。かつては親族等の連帯保証人をつけることが一般的でしたが、最近では保証会社に連帯保証を依頼するケースが多いようです。
なお、個人で借りる場合は勿論、法人で部屋を借りる際も、誰が居住するかの確認は必要とされます。

  • 海外在住でも物件探しは可能

不動産会社によっては、海外在住の外国人に対しての海外審査を行っているところもあります。就職内定者の場合「内定通知」があること、留学生の場合「入学許可証」があること、技能実習生の場合「技能実習計画認定通知書」があれば審査が通りやすくなります。
不動産会社によっては、SNS等で海外の外国人と連絡を取りながら、物件の紹介や審査の手続を勧めることが可能です。

【トラブル】
外国人の入居者に対するトラブルでよく聞かれるのは、騒音、ゴミ出し、匂いなどになります。

  •  騒音  夜中にパーティーなどをして大騒ぎして近所からクレームが来るケースです。
  • ゴミ出し  ゴミ出しのルールが守れずに近所からクレームが来るケースです。
  • 匂い  香辛料を使った食事をすることが多いと、部屋に匂いがついてしまい、退去する際に部屋のクロスの張り替えなどが必要になります。これにかかる費用が敷金では足りず、揉めるケースがあるそうです。

この他のトラブルとして

  • 入居者の相違

当初、不動産会社や大家さん側に報告していた外国人の人数と違っていて、連絡なしに別の外国人が居住しているケースなどがあります。上記の騒音やゴミ出し等のクレーム等で訪問してみたら発覚した…ということが多いそうです。

  • 又貸し

自分名義で借りた部屋を別の人に貸しているケースです。中には民泊など商業目的で利用しているケースなどもあります。悪質な場合は、契約解除のうえ家賃の6カ月程度の違約金の徴収になるケースもあります。

【外国人の居住】
外国人の入居をOKとする大家さんは、かつてよりは増えてきており首都圏では約3割くらいです。ただし地方では1割くらいのようですから、やはり部屋探しに苦労することはまだありそうです。
外国人対応の体制が整っていない不動産屋もあるでしょうが、大手不動産会社の支店などでは、本社や他支店と連携のうえ、対応が可能なところもあるでしょう。
外国人のスタッフがいる不動産会社などでは「外国人の住環境を良くしたい」という使命感から、親身になって相談に乗ってもらえるところもあります。
企業等である程度の人数の外国人労働者を受け入れる場合などは、不動産会社で説明会を開催してもらえることもあります。まとまった人数であれば、海外支店で説明会を開催できることもありますので、まずはいくつかの不動産会社に問い合わせしてみてもよいでしょう。